寄付
ちょっと前、テレビでふるさと納税の特集がやっていました。ふるさと納税とは、とある地域(自分の地元でなくてもOK!)に寄付をした時に、その額が税額控除される仕組みです。
多くの自治体では、ふるさと納税の寄付を集うために、ふるさと納税をしてくれる人に対して地域の特産品やら金券やらを”お返し”として渡しています。その”お返し”のクオリティが上がっていて、ふるさと納税のPR合戦が行われているという番組でした。
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寄付といえば、2011年3月11日に発生した東日本大震災を機に注目が集まりました。震災が起きた後には、インターネットを通じて手軽に寄付ができるようにもなったし、街角での募金活動も積極的に行われていました。どこに寄付すればいいのか?ということも含めて議論が巻き起こり、寄付税制に関する議論も積極的に行われるようになりました。
2012年には認定NPO(特定の審査をクリアしたNPO)に寄付をした際に、税額が控除される仕組みができ、NPOへの寄付を増やしていこうという機運も高まってきました。猪瀬直樹前都知事の失脚に伴って行われた2014年の都知事選では、家入かずま候補がクラウドファンディングによって700万円以上の額を調達したことも、寄付への関心をよせる要因の一つになりました。
いまや、地方自治体やNPOなどにとっては、寄付をどれだけ集められるのかというPR戦略が非常に重要になってきています。
一方、寄付をする側にも思惑はあります。
例えば、政治献金を行う場合、多くはある意図をもって行います。病院の理事長が市長選に際して献金しようという場合、その裏には市有地が空いた場合に我が病院に便宜をはかってほしいという思惑があります。企業経営者が政治献金を行うときは、当選したら俺のいうことを聞いて(特区申請など)行政との折衝が必要な際のパイプになってくれよな、というメッセージを含んでいることが多いです。
友達が出馬するから、余ったお金をあげようかなという人もいるとは思いますが、それも含めて、政治献金は明確な意図をもって行われることが多いです。
ふるさと納税も同じで、納税したい理由は、1)自分のふるさとに貢献したい、2)税金を減らしたい、3)特産品が欲しいの3つに集約されると思います。中には、どうしても好きな地域があるからその地域を応援したいという人もいるかもしれませんが、そんな奇特な人はそうはいないでしょう。上記のいずれかの理由で惹かれたからこそ、納税するのです。
まぁ、いろいろと問題はあるんだと思いますが、寄付する意味が分かりやすくなってくるのは良いことだと私は思っています。
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そんな中で、いまだに残念に思うのは卒業した学校への寄付です。私は、小学校から大学まで公立出身ですが、学校への寄付のお知らせが同窓会報みたいなものと一緒に届きます。「一口10,000円で、何口寄付するか選んで下さい」という銀行の振込用紙が、毎年学校から届くんです。
あれ、振り込んでいる人いるんでしょうか?
同窓会の会報を作る予算が賄えるくらい寄付って集まってるんでしょうか?
私の愛校心がないだけなのかもしれませんが、個人的にはあまり寄付したいとも思いません。寄付をすれば、体育館の新設の際に名前が彫られるとか特典があるんでしょうが、別にわざわざ自分の名前を彫って欲しいとも思いません。お金が余ってたら寄付するかなぁと考えても見ましたが、だったらNPOやふるさと納税で寄付したほうがいいかなぁって気もします。学校に寄付したところで、明確な利益が想像できないからです。
もちろん、寄付というのは善意が溢れる人がするんでしょうが、それと同時に、寄付をした人がいかに心地よくなれるかも重要なんだと思います。
「被災地にせめてもお金を役立てて欲しい」
「NPOの活動を通じて子どもたちの将来の力になりたい」
「政治資金が足りななら自分が支援して政治家を世に送り出したい」
程度の差こそあれ、こうした感情をもってはじめて寄付したいという思いに駆られるもんなんじゃないかと思います。世の中、ただただ善意をもった人ばかりではないので。
もっとも、学校が曲がりなりにも安定運営できているということ自体が寄付の対象として魅力不足なんだとも思います。だから、どんな特典があってもあまり寄付する人がいない、そんな気もします。それでも、無機質な同窓会報と一緒に送られてくる銀行の振込用紙にはなんだか寂しい思いも感じます。
ではでは。