ぶとしの日記

ぶとしが生きていて思ったことを綴っていきます。

勤労学生控除の不思議。所得金額制限は撤廃すべき!

 

確定申告の時期も終わり、還付申請された方は還付金が戻ってきている頃かと思います。ぶとしは昨年度まで大学院に通っていたため、勤労学生控除申請をしました。

 

勤労学生控除とは、特定の機関で学習をしている人が所得がある場合に、一律27万円が所得金額から控除されるという仕組みです。国税庁のHPには、下のように定義されています。

 

(1) 給与所得などの勤労による所得があること

(2) 合計所得金額が65万円以下で、しかも(1)の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること。例えば、給与所得だけの人の場合は、給与の収入金額が130万円以下であれば給与所得控除65万円を差し引くと所得金額が65万円以下となります。

(3) 特定の学校の学生、生徒であること

この場合の特定の学校とは、次のいずれかの学校です。

イ 学校教育法規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など

ロ 国、地方公共団体、学校法人等により設置された専修学校又は各種学校のうち一定の課程を履修させるもの

ハ 職業能力開発促進法規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程を履修させるもの

 

 以上のいずれかの学校に当てはまるかどうか分からないときは、通学している学校の窓口で確認してください。

出所:No.1175 勤労学生控除|所得税|国税庁

 

ぶとしの場合、個人事業主としての所得があり、必要経費等を差し引いて所得金額が 65万円以下になったので(正確には頑張って経費を積み上げたので)この控除が適用できたのですが、所得金額が65万円を下回るという条件はあまり現実的では無い気がします。

 

例えば、田舎からでてきた大学生が仕送りがもらえず、自力で働いて生活をやりくりしなければならないケースがあったとします。親御さんは学費は出してくれるけどそれ以外の費用は自力で何とかしなければならない。奨学金で月50,000円は支給されるけど、それも家賃で消えてしまうので、生きていくための費用は自力で稼がねばならない状況です。少なからず起こりうるケースだと思います。

 

この学生がアルバイトをしたとすると、時給1000円程度のアルバイトだとしても、週2日〜3日8時間ほど働いたら、月に10万円程度の稼ぎになります。でも、夏休みには友達と旅行にいきたいからある月は15万円稼いだなんて月があったとすると、結構簡単に、給与合計が130万円を超えてきます。そうなれば、この学生は勤労学生控除を受ける対象とならないのです。

 

おそらくこのケースのように稼ぎのある学生が確定申告を行うケースはそれほど多くないように思います。親の扶養を外れると困るので、それなりの収入があるにも関わらず確定申告を行わない学生も多いと思います。

 

ですが、本来の目的を考えてみれば、働きながら学校に通う学生を支援することがこの控除の目的のはずです。だとすれば、この学生が、生きていかねばならないという理由で130万円以上稼いだにも関わらず、稼いだ金額が130万円以上だということが原因で勤労学生控除を受けられないのはあまりに不合理な気がします。

 

ぶとしは、この勤労学生控除の所得制限は撤廃すべきと思っています。理由は以下の3つです。

 

1)本当に働きながら学ぶ学生を支援する体制を構築すべき

2)学生時代から確定申告をするよう促す

3)社会人学生の学習を支援しよう

 

1)に関しては先ほど述べたとおりですが、2)に関しては、確定申告をする人としない人の差が激しいのにも関わらず、その把握の仕組みがあまりに大雑把だというのが実感としてあります。だって、確定申告しなければならない人が確定申告しなかったからといって何のお咎めもない。

 

でも、一度確定申告をすれば税金のことについて驚くほど詳しくなります。国税庁はそれは望まないかもしれないけれど、節税したいという意識が芽生える人も出てくるだろうし、逆に、しっかりと納税することの意義を感じる人も出てくるはずです。

少なくとも、どいう仕組みで税金が計算されているのかということは知っておくべきだし、それを知らないままに、気がついたら給料から税金が天引きされているという状況は好ましくないです。税金の仕組みは、できることなら、就職する前に知っておきたい。

 

そして、3)に関しては、大学の事情もあります。今、少子高齢化で学生確保に苦戦している大学では「大人の学び」「生涯学習」へもウィングを広げようとしています。そしてそれは、大学にとっては至上命題の重要な戦略です。

 

大人の学習者の「学び直し」を担える大学になれば、18歳〜22歳の人だけでなく、65歳のビジネスパーソンや専門職の方、あるいは65歳以上の高齢者の趣味の領域の学習まで手を伸ばせる、すなわち、授業料をもらえる対象が圧倒的に拡大することを意味します。これらの学習が本当に有意義なことなのであれば、税の軽減が認められてもよいでしょうし、逆に税の軽減が認められるのであれば学習しようという人も少なくないはずです。

 

だらだらと書いてきましたが、少なくとも、現在の勤労学生控除は全く機能していないと思われますし、こうした点について、精査していくべき時が来ている気がします。